RTSを発展させた歴史シリーズの前2期では、『ウォークラフト』『スタークラフト』『エイジ・オブ・エンパイア』『コマンド&コンカー』の歴史を紹介した。だが、中国のプレイヤーにおいては、ある『コマンド&コンカー』シリーズの二次創作ゲームが上記の作品に負けない知名度を誇っている。 それが『レッド・アラート』シリーズ。
『コマンド&コンカー』が大ヒットした後、ウエストウッド・スタジオは同じゲームエンジンで別の題材のRTSゲームを作ろうとした。『コマンド&コンカー』シリーズの世界観はSFに近いため、よりリアルなスタイルに沿ったRTSゲームを作るのが自然だった。
1996年、『レッド・アラート』初代が発売された。第1期でも言及したように、たった一ヶ月で150万本も売れたのだ。翌年『レッド・アラート』が2つのダウンロードコンテンツを発売すると、売れ行きも好調で、販売数は合わせて100万本以上となった。
ウエストウッド・スタジオは日々発展していったのだが、本社のヴァージン社が深刻な財政難に陥ると、傘下の様々な資産を売却し始めた。そしてウエストウッド・スタジオも捨てられる運命を免れなかった。 1998年、ウエストウッド・スタジオはEAに買収され、数奇な運命が始まった。 買収された後、ウエストウッド・スタジオが発売した最初のゲームはプレイステーションでの『レッド・アラート:ユーリの復讐』だった。このゲームはほぼ前代の移植版で、それほど重要な作品ではなかった。真の目玉は『レッド・アラート』の続編――『レッド・アラートII』だ。
知っている人は少ないと思うが、『レッド・アラートII』は、実は『コマンド&コンカー』のスタジオではなく、EA傘下のウエストウッド・パシフィック・スタジオ(Westwood Pacific)が開発したものである。 スタジオこそ変わったが、『レッド・アラートII』のメインデザイナーの3人は、非常に豪華な制作陣になっている。 Brett Sperryは『デューンII』と『コマンド&コンカー』シリーズのプロデューサーで、RTSゲームの名付け親のような人物として、彼はかつてGamespotにゲーム業界で最も影響力のある6人の1人と評価された。2002年、彼は自身の本業であるカメラマンに戻ることを選び、ゲーム界から引退した。
Dustin Browderは2005年にブリザードに入社し、リードデザイナーとしてもう一つのRTSの神作――『スタークラフトII』を開発した。
John HightはEAから離れた後、『ワンダと巨像』『ゴッド・オブ・ウォーIII』などのプロジェクトのプロデューサーディレクターを務めてから、同じくブリザードに入社し、『ワールド・オブ・ワークラフト:ミスト・オブ・パンダリア』『ディアブロⅢ:リーパー オブ ソウルズ 』などのプロジェクトのプロデューサーディレクターを務めた。
2000年、『レッド・アラートII』は発売されてからすぐに各売上ランキングで1位を占めた。 『レッド・アラートII』は完璧とは言えない。RTSゲームとして、同時期の他のゲームと比べて、各陣営のバランスといい、操作のデザインといい、このゲームは理想的なものではなかった。とはいえ、これはRTSゲームの歴史で消えない跡を残した。その鍵はそのエンターテインメント性にある。 リアルタイムストラテジーゲームは戦争をテーマにし、厳粛なスタイルなものが多いが、『レッド・アラートII』は真逆だ。このシリーズは全体的に米ソ冷戦時代の世界観で、ゲーム内の戦争でもリアルに近い兵器を使用している。
だが、『レッド・アラート』シリーズはかなり常軌を逸する発想が多い。ツッコミたくなるぐらいの実写の動画から、タイムスリップしてアインシュタインを殺すというような風変わりなシナリオまで、すべてがブラックジョークを感じさせる。そして、伝統的な兵器とブラックテクノロジー兵器を混ぜる設定も面白い。戦車や飛行艇、原子爆弾といったリアルに近い兵器があれば、テスラコイルや鉄のカーテン、気象制御機といった非科学的なハイテク兵器もある。
このようなブラックジョークのスタイルは『レッド・アラート』シリーズの象徴にもなっている。 20年後の今でも、『レッド・アラートII』のために新しいMODを作るファンがいる。今年、『レッド・アラートII:メンタル・オメガ』という非常に大規模のMODがようやく製作完了となった。このMODには新しい操作可能な勢力、新しい戦役と新しいコラボモードが追加され、無料の対戦サーバーがあり、中国語までサポートする。
『レッド・アラートII』の成功とは逆に、ウエストウッド・スタジオは没落しつつあった。ウエストウッド・スタジオが開発したFPSゲーム『コマンド&コンカー:レネゲード』とMMOゲーム『アース・アンド・ビヨンド』は、どれもEAの期待に応えられなかった。ようやく、2003年に、EAはウエストウッド・スタジオの廃止を発表し、このRTS界の伝説も終わりを迎えた。 ウエストウッド・スタジオは歴史になったものの、『レッド・アラート』シリーズはまだ終わっていない。 2代目の発売から8年後の2008年、EAのロサンゼルススタジオが開発した『レッド・アラートⅢ』が登場した。
画面は3Dになったが、遊び方もスタイルも馴染みのあるものだ。大げさなスーパー兵器は2代目と比べても勝るとも劣らなく、特に新勢力である旭日帝国の兵器は、中二病の雰囲気を漂わせている。 一目見るとガンダムを連想すうキングメカ:
ターニャよりすごい超能力少女百合子:
どう見ても熱兵器時代にいるはずがない鋼鉄の浪人:
『レッド・アラートⅢ』は、RTSゲームの歴史では神作とは言えないが、私たちの「レッド・アラート」シリーズへの思い出が込められている。それで十分だと思う。 時間はあっという間に過ぎ、このシリーズの前作の発売から、また十数年が経った。長年沈黙していた名作『レッド・アラート』シリーズに関するニュースはもうないと思っていたが、『エイジ・オブ・エンパイアIV』が成功したことで、より多くのRTSの名作シリーズが蘇るかもしれない。
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2022-06-09